雑記ノートBLOG
会話の配慮
文章を書く仕事のせいか、人と話すのが苦手だ。取材の際は話さなければ仕事にならないので、下手を承知で話している。相づちのバリエーションも貧弱で、毎回、相手がどう思っているかを考えると冷や汗もの。特に顔が見えない電話は最も苦手だ▼「話術の神様」徳川無声は、人と会話する時の「座談十五戒」を1947年刊の「話術」(現在は新潮文庫で復刻)で示している。一人でしゃべるな▽黙り石となるな▽威張って反り返るな▽馬鹿丁寧になるな▽お世辞屋になるな▽毒舌屋になるな▽愚痴のコボシ屋になるな▽自慢屋になるな▽ほら吹きになるな▽知ったかぶるな▽なんでも賛成するな▽なんでも反対するな▽軽薄才子になるな▽朴念仁になるな▽敬語を忘れるな―だそうだ▼ただ、これらは全て他人への配慮であり、人の心を温めるために言葉はあるという。突き詰めれば話術は、その人の人格に行きつくらしい▼今はマスクなので相手の表情が読みにくい。相手が不快にならないような会話を心掛けてはいるつもりだが、果たしてできているか。はなはだ心もとない。〔四方〕