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禍を福に

「禍を転じて福となす」。私にとってこのことわざは、花粉症が当てはまる。苦しさから逃れようと、あれこれと講じた対策の一つに食生活の改善がある。花粉症シーズンを見据え、通年で行った結果、症状が軽くなるだけでなく、悪化傾向だった健康診断のあらゆる数値が良くなった▼十数年前、禍は突然訪れた。風邪をひいたわけでもないのに鼻水が止まらず、これまでに経験したことがないくらい目がかゆい。花粉症の発症だった。「これからは毎年、この苦しみがあるのか…」。絶望的な気持ちになったのを覚えている▼対策を模索するうちに、腸内環境の改善によって症状が抑えられそうなことを知った。試しに発酵食品と食物繊維の摂取量を増やしてみたところ、症状は確かに軽くなった。これがきっかけで、より良い腸内環境を目指した食生活が始まった▼もし花粉症になっていなかったら食生活は変わらず、健診では異常が出ていたかもしれない。考えてみると、ゾッとする。花粉症は禍だったが、健康という福につながった。今となれば、花粉症になって良かったとさえ思える。〔樋口〕

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